はじめに
この記事は、Ruby Advent Calendar 2019の17日目の記事です。
2019年12月13日に開催された Ruby Business users Conference 2019で登壇してきました。初めての社外登壇だったため非常に勉強になりました。カンファレンス申し込みから、発表の準備、当日の学び、自分の考えの変化を振り返ります。
参加レポート
イベントの参加レポートは以下の記事にまとめました。
申し込み編
お世話になっているSaitama.rbを主催されている竹内さんが昨年登壇していたこともあり、私もやってみようと思ったことがきっかけでした。詳しくは以下の記事に書きました。
準備編
幸か不幸か、カンファレンスと同じ週の月曜日に、勤務先で部門対抗のプレゼンテーションコンテストがありました。私も自分の部門の代表として参加することになっていたため、11月下旬から12月の頭はそちらの準備にかかりきりでした。また、土日は主に2歳の息子と過ごすことを最優先としているため、土日にまとまって作業をするということも難しい状況でした。
そのため、Ruby Business users Conference 2019の準備を並行して行うためには、細切れの時間を活用するしかなく、通勤途中に歩きながら音声入力を使って Google ドキュメントに何を話そうかブツブツ呟いてメモを取っていました。結局、Conferenceの資料作成に着手できたのは12月10日以降でした。
一番伝えたかったこと
カンファレンスの参加者のレベル感が見えない状態で準備をするというのは、なかなかハードルが高いと感じました。また、私以外の登壇者の皆さんの経歴が CEO や役員など凄まじい方々ばかりで、平社員が私だけという状況も大変恐縮でした。
平凡な私が一体何を伝えられるのだろうかと、正直、かなりへこみました。しかし、結局、自分が実体験で得たことと、 Ruby や Rails への感謝の気持ちを伝える という初心にかえることにしました。
この初心にかえるということが、結果的に非常に良かったと考えています。
資料作成編
私は昨年頃から、プレゼンの資料は全てMarkdown で書いています。Speeeの服部さんが開発してくださっている、Marp nextを使えば、簡単に見栄えがするプレゼン資料を作成することができます。
パワーポイントで資料を作成してしまうと、どうしても文字のサイズ調整や、図表の位置が一発で決まらず、微調整をひたすら繰り返すという不毛な作業に追われることが、しばしばあります。一方、 Markdown であれば、文字のサイズや画像の表示位置で迷うことがなく、参加者のみなさんに伝えたいことに集中して、資料を作り込むことができました。また、Githubでバージョン管理できるのも精神衛生上とても良かったです。
基調講演2の株式会社Speeeの大場さんも、発表資料をMarpで作られたそうで、非常に嬉しかったです。Marp next は素晴らしいOSSプロダクトです。これからもMarp nextを応援しています!
ということで、この資料は2日ほどで作成しました。
発表の練習
私は人前で発表する前には、7回必ず練習すると決めています。7回という回数に特に根拠はないのですが、7回も同じ内容を話していると、20分程度のプレゼンであればだいたい頭に入ります。スライドを見なくても話せるようになり、心にも余裕ができるため、必ず7回以上練習するようにしています。
今回は初めての社外登壇ということもあり、会社の先輩にお願いして、実際にリハーサルに付き合っていただきました。喋っている自分を動画に撮ってもらい、改善するように努めました。また、PCの前で発表すると小さいプレゼンテーションになってしまうため、ワイヤレスでスライドを送れるように、コクヨのフィンガープレゼンターを使って練習していました。これは手がフリーになるのでかなり便利です。
コクヨ パワポ操作用 フィンガープレゼンター 黒曜石 ELA-FP1
- 発売日: 2013/06/12
- メディア: エレクトロニクス
発表中に考えていたこと
発表する会場は、渋谷のシダックスホールでした。今回初めて行きましたが、非常に立派なホールでした。登壇者にスポットライトが当たるような立派なホールでした。一人で舞台に立って、自分だけにスポットライトが当たるという経験は初めてだったかもしれません。
話している最中は、目線は出来る限り来場者のみなさんを見るように意識していました。舞台の上に立って、全体を俯瞰して見ていると様々な人がいらっしゃいました。眠っているように見える人がいて、「私の話はつまらないのかな・・・」と落ち込む一方で、私の話に対して「うんうん!」と頷いてくださる方もいました。
Microsoft のエバンジェリストである西脇さんの本に書かれている通り、私の話に反応してくれる方を自分のペースメーカーとしながら、発表を進めるように意識しました。
- 作者:西脇資哲
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2015/10/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
また、持ち時間が20分だったため、PC上で時間を測っていました。しかし、動きながらプレゼンしていた結果、 PC の前にほとんどいなかったため、今どれぐらいの時間が経過しているのかがわからなかったのが反省点です。7回練習していたのが功を奏したのか、結果的には20分ちょうどで収まっていました。
懇親会でのフィードバック
懇親会では、様々な方々から「良いプレゼンだった」と褒めていただきました。Rubyアソシエーションのスタッフの方からも、「今回のカンファレンスは登壇者のレベルが非常に高く、非常によかった」という有り難いお言葉をいただきました。
社外の方からフィードバックをいただくという経験は大変貴重でした。
登壇するメリット
最大のメリットは、自分のRuby愛を思い切り語れること だと思います。人に自分の思いを伝えるためには、自分の経験を体系立てて整理する必要があります。アウトプットの機会をいただかないと、なかなかそういう整理を行わないため、非常にありがたい経験をさせていただきました。
また、登壇者の控室に早めに入れるので、他の登壇者の方々と仲良くなれます。
コラビットの浅海さんからは、家を買うことのメリットについて具体的に教えていただいたり、Speeeの大場さんからは、子育てと勉強を両立するためにはどうしたらいいか、という私の悩みに具体的なアドバイスを沢山いただきました。本当にありがとうございました!
- どうすれば技術を習得できるかということに裏技はない
- 地道にやっていくしかない
- 5歳ぐらいになれば子供は自分で幼稚園などに行き出すので楽になる
- それまでは育児に集中する期間と割り切って育児を最優先する
- 細切れの時間を活用する
- ポモドーロテクニックを活用する
- 読みたい本は全部Kindleに入れるなど
私以外の登壇者の方々は、CEO や役員など、普段なかなかお会いすることが難しい方々ばかりでした。社会的な地位が高い方々と、発表者というフラットな立場でお話をさせていただくことは、非常に有意義で有り難い時間でした。
もちろん、Matzさんと直接お話する機会もありました。懇親会にて、ずっと雲の上の人だと思っていたMatzさんが、私の隣で刺し身や鍋の肉をつついているという、ものすごく不思議な体験 をしました。Matzさんからも、英語で発表した際の失敗談から現在に至るまでのお話を伺うことができました。
考え方の変化
社外に出て様々な方とお話することで、自分の考え方が少し変化してきたことに気づきました。
現在私はTOPSICというプログラミングスキル判定サービスの開発リーダーをやらせていただいています。Ruby や Rails を使って、事業の成長に全力を注ぎたいと考えています。
会社の看板を背負って社外で登壇するという経験は非常にありがたく、今後も機会があればどんどん登壇していきたいと思うようになりました。当初は個人の活動と勤務先の業務が合流することに居心地の悪さを感じていたのですが、エンジニアとして自分の仕事を社外にアウトプットできるのは非常に良いことだと考えるようになりました。
今回の登壇がきっかけでデブサミ2020にも申し込んでみました。どちらかと言うと引っ込み思案な性格であるため、これは大きな変化です。さらに、実名顔出しでSNSをやるようになりました。
理由は今回のカンファレンスで実際にお会いして SNS で繋がった際に、私だと認識してもらえない懸念があったためです。また、SNS 上で別のキャラを演じる必要もなく、リアルだろうが、ネットだろうが私は私です。実名顔出しが危険という意見もありますが、少なくとも私が尊敬するエンジニアの方々はみんな実名顔出しで活動をしています。実害があるようには見えませんし、むしろネットとリアルのアバターが一致していないことに、だんだん違和感を覚えるようになりました。
ということで、今後も実名で顔を出しながらアウトプットしていきます。微力ながら、オープンソースに恩返しできるような働き方をしていきたいと考えています。
結論:外部の登壇は楽しい
申し込む前までは、どうしようかやめようかとずっとモヤモヤしていましたが、今では非常に清々しい気持ちです。もしこの記事を読まれた方が、自分も登壇してみようかなと思っていただければ嬉しいです。
まとめ
本記事では、人生初の外部イベントでの登壇で得たことをまとめました。Rubyのコミュニティの皆さんはとても暖かく、素晴らしい場所だと感じました。これからも Ruby や Rails を使って世の中に良いプロダクトを生み出し続けていきたいと思います。
長文の記事を読んでいただきありがとうございました。
明日のRubyアドベントカレンダーは、@expajp さんです!